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更新はゆっくりです。いつか誤字脱字も直して詩集を出したいです。
怪盗…それは鮮やかな手口で金銀財宝を盗む、犯罪界のパフォーマー、または芸術家である。こう言ってしまうと行いを賞賛している様だが、歴とした犯罪行為である。怪盗は何故、物を盗み、そして義狭を行うのか…。私達には無い考えである。怪盗と呼ばれる者達の中に、生ける伝説として語られる男が居る。名は盗実大蔵。国籍は日本人とされている。と言うのも、彼の名前は古くから存在しており江戸の初期から怪盗をしているのである。恐らくは何代にも渡って名前を襲名してると思われるのだが、正式に襲名を受けた人物や弟子の存在が無い事から、噂で耳にする人魚の血を飲んで不老不死になり、未だに現役で有られると思われる。急に胡散臭くなったが、彼だとまずあり得る話なのだ。私達は数々のアウトローに精通する方々に交渉し、遂に盗実大蔵と直接コンタクトを取る事に成功した。彼から届いた手紙には、M県のとある山にある別荘に滞在してると書いてあったので、我々は早速M県を目指した。

針葉樹に挟まれた整備のされていない一本道を、我々は不安を抱きながら進む。もしかして我々の行動を良く思っていない人達の嫌がらせなのでは無いかという気持ちからだ。ナビは道無き道をひたすら走ってる。此処はM県なのか、県境なのかも分からない。更に強くなる不安に押し潰されそうになっていると、少し開けた場所が現れてそこに一軒家が建っていた。我々は家の前に車を止めて、古いインターホンを押す。弱々しいピンポーンの後に、数秒の間が入る。ガチャリと開いた向こうには長髪の白髪をした老人が立っていた。

「さぁ、あがりなさい。」

落ち着いているが、圧を感じるその声に我々は緊張しながらあがる。別荘だからなのか、怪盗の住んでる所は盗んだ絵画とか宝石に溢れていそうなもんだと思っていたが、質素な感じであった。正座してあたりを見回していると

「こんなものしか、出せなくて申し訳無い。」

そう言って、お茶を出された。

「君達がどういう訳か、私に関心が有るというのは仲間から聞いていたよ。私から怪盗の話を聞きたがるのは仲間か警察くらいだと思っていたけど…長く生きてみるもんだね。インタビューだなんて面白いじゃないか。」

先程までのギラ付いた雰囲気は無くなり、そこら辺に居る普通のお爺ちゃんのようになり、我々は心の中で胸を撫で下ろした。

ー今回は、インタビューに答えて頂けると聞いて遥々、T都からやってまいりました。盗実大蔵さんとこうやってお話出切る事を光栄に思います。

「いやぁ、光栄だなんて思わないでくれたまえ。私は世間から見れば怪盗、犯罪者だからね。君達がこれをどんな形で世に出すのか分からないけど、望んだものに応えられるようにしたいと思うよ。悪い奴だと思わせたいなら、そんな事を聞いたって構わない。」

ー我々はテレビの人間ですが、地上波ですと規制がきびしくて見せたい物が見せられなかったり、都合の悪い部分を切り取って放送したりします。ですが、今回のインタビューはネットでの放送になります。ネットの放送は結構、良くも悪くもこういった思い切った事が出切るのです。今回は有りのままに答えて頂けると幸いです。私達はそれをそのまま放送し、視聴者に感想は委ねたいと考えております。

「そうかそうか、じゃあ後で放送日教えて頂戴ね。編集を疑ってるとかじゃなくて、純粋に見たいからね。」

ー分かりました。では、早速始めたいと思います。まず、貴方は本当に盗実大蔵さんですか?偽者、または弟子とかではないでしょうか?

「…私は盗実大蔵…本人だ。私は江戸の初期から今まで生きている一代目だ。私の名を名乗る偽者が居たりして、ややこしい事になっているが、弟子も持たず、襲名もせず、今も現役でしている。あ、ただね…これが本当の顔では無いよ?どんな素顔をしているかはNGで頼むよ。」

ー素顔の件は分かりました。ですが、貴方が名を受け継いだ弟子とかでなく初代と言うならば、どうして此処まで生きてこれたのか説明して貰えないでしょうか?現実的では無い長さを生きてる事になるのですが。

「私の元に来るにあたって、幾つか話は聞いてきたろう?例えば、人魚の血の話だ。昔、江戸の時代には人魚は存在していた。ただ、想像と違うのは上半身も魚に近い外見をしてるな。人に近いなら嬉しかったんだけどな。当時の富豪は人魚を捕まえて自分が死ぬ間際に不死になろうとして、血や肉を所持している者が多くいたな。大概は嘘でくたばっちまったがね。本物を食べた人間も居たが、私くらいだね生きているのは。皆、長生きする事に疲れてしまって自殺を選んでしまったよ。私はまだ盗み足りていないからね。もう暫く、生きていたいのだよ。今も血は残っているが、余りにも古いと身体を腐らせる作用があるから、不死になれる代物はもう存在しないよ。」

ー普段も盗んで暮らしてるのですか?

「それじゃ泥棒と一緒じゃないか。日用品はちゃんとお金で買うよ。お金が欲しくて銀行に出向く事もあったが、それじゃつまらない。依頼主が居るんでね、その人に宝を渡すとお金を貰えるんで、それで普段は生活しているよ。必要以上に盗まないのが私のモットーなんだ。」

ー自分の家に飾ったりとかでは無いんですか?

「飾ったりはするけど、私がしたいのは盗む事だからね。ちょっとしたら闇ルートで欲しいって人に売ったりしてるよ。飽き性で有る事は大事だね。それは挑戦やアイデアを産み出して、自身を世界に向き合わせる。後、奪う側で有る事。立場や物でも、捨てられない人間ってのは不自由な人間だ。ある意味怪盗は、解放者、革命家であると思うよ。」

ー今まで盗んで来た中で、一番苦労したものはなんですか?

「街だね。」

ーえっ!?街ですか!?

「当時は第二次世界対戦で、この街が空襲に合うという話を聞いてね。今じゃたまにしか立ち寄らないけど、此処は私の故郷だからどうしても壊されたくなくて街全体に細工を施して空襲から逃れる様にしたのさ。」

ー怪盗だと自身を蔑みますが立派な事をされてるじゃないですか。

「いや…立派なんかじゃない。そのせいで、別の場所が空襲に合い多くの民が死んだ。私の独り善がりな気持ちのせいでだ。私はもっと早く動くべきだった。世界の為に動くべきだったと後悔しているよ。戦車を盗み、戦闘機を盗み、銃を盗み、火薬を盗めば良かったと。」

ーその後悔は現在に活かされていますか?

「活かされないね。後悔したけど、長く生きてきて色々と人も見てるからね。悟ったんだ。人は同じ事を繰り返す生き物なんだ。この後悔だって何度だってしている。キリが無いのにだ。私が本気で後悔してるなら、人から心を盗むだろうね。まぁ、心は盗めるもんでは無いんだけども。」

ーなるほど…盗実さんでも心は盗め無いのですか?

「そうだね。私は心と言うのがどんな形をしていて、何処に有るのかが分からないんだ。心臓?脳?それも恐らくは器みたいなもんで、きっと別な所から心はやって来て人を動かしてると思うんだ。盗みたいとも思わないんだ。思い通りに出来てしまう人間なんて面白くないからね。」

ー以外ですね。敢えて盗まないんですか?

「じゃなきゃ怪盗なんてやりませんよ。人に心がなければ全てが平坦じゃないですか。平坦の何が面白いんですか?山が平らだったらつまらないでしょ?だから私は山とかビルとか高い所が好きでもありますね。」

ー盗実さん、確かに高い建物の所に予告状送りますよね。

「あ…それはほら、欲しい物を持ってる人が皆富豪なのよ。富豪って権威を象徴したくてね。高い所に住みたがるのね。あの人達懲りないのよ。私が下から来るもんだと未だに思ってる。何回も上から攻めて、上から脱出してるのに止めないんだよね…。」

ーでも難しい所も勿論有るんですよね?

「まぁ…海と地中は難しいよね。場所が場所だから下見がそんなに出来ない。地図を丸暗記しなきゃいけない、脱出経路も少ないからキツいよね。」

ー先月、リュ・チェンシェンが盗実さんに挑戦状を出していましたが受けるんですか?

「あぁ…随分と自身があるみたいだね。テレビでセキュリティの自慢をしていたみたいだけど、私はそこのセキュリティ会社からパスワードとか全てもう盗って来てるからね。意味無いよ?指紋とか角膜スキャンとか。そんなの無視して開けられる。警備も補充してるみたいだけど、何人が貴方の味方かな?って言いたいね。」

ーつまり、仲間が居るんですか?

「どうだろう?ほんとかも知れないし、フェイクかもしれない。言える事は、一人でも盗めるよって事かな?」

ー盗むにあたって失敗したらとか、思った事は無いんですか?

「私なら盗めるっ自信は有るけど、思うよ当然。だから、おまじないみたいな事をするよ。私が犯行に及ぶのは殆どが仏滅の時だ。大安だと運を味方に付けられそうな気がするからね。」

ー意外です。運とか気にするんですね。

「勝負の世界でもあるからね。実力だけじゃどうしよも無い所を埋められるならそうしたいのさ。」

ー盗みたい物はありますか?

「涙の水族館、日光を吸って夜に発光する石、宇宙の香り、ジョンジ・アーターの遺作。今はその辺が気になるよ。」

ー最後にあなたにとって怪盗とは?

「私からは奪えないもの」

ー本日はありがとうございました。

このインタビューを放送して数日後、リュ・チェンシェンは更にセキュリティを強化したが、3日後の仏滅に見事盗まれた。犯行は、盗実大蔵。たった一人で行われた。
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